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以下の記事には、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からの転載を含みます。
- 「ポケットモンスター」縮めて「ポケモン」は、ポケットモンスターシリーズに登場する空想上の生物たちの総称である。日本語での正式名称は「ポケットモンスター」であるが、ゲーム内においても「ポケモン」という通称が一般的であり、欧米では「Pokémon」の名称が正式名称として扱われている。
概要 †
- 1996年に発売されたゲームボーイ用のソフトである『ポケットモンスター 赤・緑』で最初の151種類が登場して以来、新作が発表されるたびにその総数は増加している(世界観上は「それまで未発見だったポケモンが新発見」されている)。『金・銀』が発売された1999年には100種が、『ルビー・サファイア』が発売された2002年には135種類が、そして『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』が発売された2006年には106(107)種類が新たに「発見」され、現在492(493)種類のポケモンの存在が確認されているが、今後更に新しい種族が発見されることが予想される。
- 一度でもポケモンとしてメディアに登場した種族が、次作以降で「無かったこと」にされたケースは現在までに一度も無い。たとえそれが、事件(ポケモンショック)や訴訟(ユリ・ゲラー)に関わったポケモンであっても同様である。作品によってはすべての種族が登場しない場合もあるが、それは「その地方にはいない」等という理由であり、世界に存在しないというわけではない。メインのRPGシリーズにおいては、発売時点でのすべてのポケモンが必ず登場する。もっとも、実際にすべて出現させるためには通信プレイが必須ではある。
ポケモン誕生まで †
- 制作を指揮した田尻智は、ポケモンをつかまえて集めるというこのゲームの根本的な発想の原点が「子供の頃に昆虫採集をして遊んだ体験」にあると述べている。 また、捕まえたポケモンをいわば子分のように従え強く育てると言う図式も、苦労してポケモン達を集めた末にコレクションを完成させるという図式も、同様の年代の子供たちに魅力的に映る原風景であると言える。
- 1989年発売されたゲームボーイは、携帯機の特性上、パズルやアクションゲーム向けと見られていた。実際そうしたゲームは多数発売されたが、田尻はスクウェアのRPG『魔界塔士 Sa・Ga』の成功を見て、携帯機でもアクションでない分野を追求できると気づいた。こうしてポケモンの枠組みが決まった。
- 魔界塔士 Sa・Ga:1989年12月15日に発売されたゲームボーイ初のロールプレイングゲームで、サガシリーズの第一作目。スクウェア(現:スクウェア・エニックス)初のミリオンセラー作品。ラスボスが「チェーンソー」一撃で倒せるということでも有名。
- しかし企画の立案から完成までには6年もの歳月を要し、その間にもしばしばプロジェクトは休止した。発売の迫った1995年から1996年当時、ゲームボーイのみに限らず携帯型ゲーム機市場は既に衰退の途にあった。ゲームギアなどカラー表現が可能な後続機種もほぼ終息状態にあり、テレビゲームには「次世代機」と銘打ってプレイステーションやセガサターンが登場し、発売から丸6年が経っていたゲームボーイは次第に時代遅れと見られ始めていた。また市場にはRPGだけでも既に幾十幾百の作品が並び、ましてゲームボーイでリリースされる『ポケットモンスター』は、その一つとして埋もれてしまうと見られていた。
- その状況を打破した大きな要因の一つが通信機能であり、また2バージョン同時リリースという当時としては大胆な手法であった。元々ゲームフリークのスタッフが仕掛けたコンセプトは、当時まだゲームボーイですらろくに着目されていなかった「収集、育成、対戦、交換」というゲーム要素を徹底的に遊ばせようと言う目論見でもあり、それを支えるべく、ゲームボーイの通信機能をフル活用して「2つのバージョンの間、または友達のソフトとの間で通信を行わないとポケモン図鑑が完成しない」「(お仕着せではない)自分が育てたポケモンで友達と対戦できる」という仕様を盛り込んでいた。
- また個々のプレイデータには個別のIDと主人公の名前が与えられ、所有するポケモンに対して「親ID」として働き個々のポケモンをさらに個性化する、という仕様も持たせた。当初は親IDによってソフト1本ごとに登場するポケモンが異なるという仕様だったが、複雑になりすぎるということで任天堂の宮本茂の提案により2バージョンに分けて発売する手法がとられたと言われている。
- そして当時の主流に比べかなり大容量のバックアップメモリを搭載する仕様に切り替え、150種類全てのポケモンを保存することが可能になった。そうした紆余曲折の末に、『赤・緑』は1995年末に完成を迎えた。
キャラクターとしてのポケモン †
- それぞれのポケモンの名前は、固有のキャラクターの名称ではなく種族の名称である。これは一般的な「キャラクター」と比較すると稀なケースと言えるだろう。例えば「ミッキーマウス」は固有の性格を持ち、世界に1人しかいないことになっているキャラクターであるが、ピカチュウはポケモン世界に何十、何百万匹も存在するのである。
- ポケモン達は全て空想上の生物として描かれているが、大部分は現実に存在するものに由来して作られている。命名がその典型的な例であり、実在する動植物や概念であったり、英語を始めとする他の言語を捩ったものであるものが多い。実在人物をモデルにしていると思われるものも存在する。
生物としてのポケモン †
定義 †
- 「ポケモン」という分類がなされている生物の定義については明らかではない。「ポケモン」という独自の分類体系が存在するのか、それとも複数の分類体系に渡って「ポケモン」とされる生物が存在しているのかすらも資料によってまちまちである。
- しかし、一般的にはモンスターボールへの収納に代表される、自己を縮小させるという共通の能力を持った生物が「ポケモン」と呼ばれている。また、進化と呼ばれる変身を起こす物が極めて多い(『ダイヤモンド・パール』で語られる最新の研究では、ポケモン全体の90パーセントは進化するとされている)。
- また「ポケモン」はデータに変換することができ、前述のモンスターボールへの収納、ゲーム中のパソコンによる管理やアニメ中の転送シーンなどはこの能力によりできるものと思われる。
- 作品世界に登場する生物がすべてポケモンというわけではない。我々の世界と同じような動植物も描写されていたり、その存在について触れられていたりする。また「きのみ」に代表されるように、ポケモン以外の架空生物群も存在する。その一方で、アニメ等では生態系を構成する動物の全てがポケモンであるかのような描写も登場している。このあたりは、アニメやゲームの製作者の解釈に温度差があるものと思われる。
分類 †
- ポケモン達は様々な属性で分類されている。戦闘に影響する「タイプ」、繁殖に影響する「タマゴグループ」、さらに「生息地」「体の色」といった分類もなされている。このような情報は、一部の例外を除いて多くの作品で共通している。
- タイプ
- すべてのポケモンは「タイプ」と呼ばれる属性を1つか2つ持つ。これらは基本的に、種族ごとに固定である。(ミノマダムは例外)ただし、「わざ」「とくせい」等の効果によって一時的に変化することはあり、さらにカードゲームでは、「δ種(デルタしゅ)」と呼ばれる、本来と異なるタイプを持つ特殊体の存在も確認されている。
- ポケモンの使う「わざ」と、その対象の「タイプ」には相性がある。現時点で多くの作品において適用されているタイプ相性は以下の通りである。『金・銀』以前のゲーム作品では微妙な違いがあるが、現在は表の通りに落ち着いている。カードゲームをはじめとした関連作品では簡略化されていることもあるが、全体としてこの相性表に近い雰囲気は持っている。『ポケモンXD』におけるリライブホール、『ポケモン不思議のダンジョン』におけるグミの好みなど、戦闘に関係のない部分でもこれらの相性が関わる場面がある。
- 居住
- この世界の至るところにポケモンは棲んでいる。森、草原、水中、地中、砂漠、洞窟、廃墟、中には人家の周辺や、人の住めないマグマの中や深海をも住処とする種族も存在する。
- 食性
- 大部分のポケモンは食事によって栄養を摂取している。他のポケモンやその他の動植物をはじめとする有機物を主食とする種族が多いが、鉱石などの無機物を摂食したり、あるいは光合成を行う等、摂食自体が不要と考えられているものもいる。
- さらにポケモン図鑑のヒマナッツの項目に「オニスズメに襲われる」という記述が存在しており、食物連鎖も存在すると考えられる。しかし、「きのみ」類はあらゆるポケモンの傷病や疲労を癒す効果があり、これを原料とした人工飼料としてポロックやポフィンが作られている。
- そのほかの人工飼料として、サファリゾーンではポケモン共通の「エサ」が使用される。またアニメでは「ポケモンフーズ」と呼ばれているものが登場し、タケシがポケモンの種類に合わせた物の調合を研究している等の発言もなされている。
- 繁殖
- ポケモンの繁殖については明らかになっていない部分が多い。大部分の種族において雌雄の別が明らかになってはいるが、実際に生殖行動が確認されたケースは過去に無いとされる。人工飼育下のつがいを特定の環境に置くと「タマゴ」(これは「卵」ではなく、自然物で作られた保育器のようなものである)が見つかり、やがて中から仔が産まれるのだが、そのつがいが産んだものなのか、他所から持ってきたものなのかすら明らかになってはいない。ただし生まれた仔はつがいの性質を引き継いでいることが多い。
進化 †
- ポケモンという種族が持つ特徴のうち、もっとも印象的なもののひとつが進化である。これは、ダーウィンが示したものとはまったく異なる概念であり、成長や変態という言葉のほうがふさわしいと言える。一定の条件を満たしたポケモンが何らかの刺激により、その姿形、時には性質をも瞬間的に変化させる。イランなどのイスラム圏でポケモンが発売されない原因の一つでもある。
- 飼育下では一般的に、戦闘経験の蓄積や道具の投与、あるいは主人との信頼関係や通信などの刺激、更には特殊な環境での成長などが契機となって進化する。人工的に自分のポケモンの進化を妨害する手法も広く採られている。野生の状態では、飼育下では考えられない条件での進化が発生することもあるようだが、詳細は明らかになっていない。
- ポケモンカードゲームや一部の漫画では、一度進化したポケモンが元の姿に「退化」する描写が見られるが、これらは関連作品の中でも極めて異質な表現であり、基本的に進化は不可逆であると思って差し支えない。そのため、進化をめぐる葛藤が描かれるケースも多い。
人間との関係 †
- 世界のあらゆる所に潜み、強力な戦闘能力を持つポケモンは潜在的には人類の脅威であるが、ポケモンの中に人間に使役、利用されるものが多く、人間の支配下に置かれていない野生ポケモンも常時捕獲の圧力に晒されていること、逆にポケモンが人間を従えることは極まれな例外を除いてないことから現在の権力構造では概ね人間側が優位に立っているといえる。この権力構造が維持されているのは、人間側の技術力、社会発達度での圧倒的なアドバンテージであると見ることが出来る。
- ポケモンはその高い戦闘能力ゆえ一旦服従させれば人間にとって非常に有益な動物であり、自然と使役ポケモンを野性ポケモンに対抗する手段として用いることが行われた。これが発展してポケモンの所有者同士がお互いのポケモンを戦わせる競技が誕生した。ゲームやアニメをはじめとする、作品としての「ポケットモンスター」では、このような競技バトルが主なテーマとなっている。また更に発展し、ポケモンが戦争やテロにおける兵器として用いられることもある。
- これらの活動にはポケモンを捕獲し意のままに従わせる者たちの力が必須であり、これを「ポケモントレーナー」と呼ぶ。 トレーナーとポケモンの関係は基本的には緩やかな支配、被支配の構造を内包しているが、アニメの主人公サトシとピカチュウのように対等に近い関係もまれに存在する。
- 又トレーナー・ポケモン間の支配・被支配の構造をことさら強調したのがロケット団などである。 ゆえにすべてのポケモントレーナーが戦闘を主眼としてポケモンの飼育、育成を行っているわけではなく、育成そのものを目的とした『ブリーダー』と呼ばれるものたちや、ペットとしてポケモンを飼育するトレーナーも多い。
- ポケモンの人間社会における使役目的は戦闘目的が主だが、それ以外にも、乳や卵を取る為の家畜としてポケモンを飼育したり、ポケモンの調査や研究を生業とする人々もいる。また、ポケモンが食料として狩猟の対象とされていた事をにおわせる神話も伝わっている。これらの活動においても人間とポケモンとの関係は支配・被支配の構造を持つ事が伺えるが、オーキド博士などその枠に収まりきらない者も存在している。
- このように人間に使役、利用される地位にある事の多いポケモンだが、一部の地域や人々の間では信仰の対象となっていたり、神話で語り継がれていることもある。このことからかつてはポケモンは人間と対等以上の存在として捉えられていたが、何らかの理由で次第に人間に使役、管理される生き物へと変化していったことが見て取れる。
- 人間から理不尽に扱われたポケモンの中には人間とポケモンとの支配・被支配関係について自覚的、非自覚的問わず敏感になるものが存在する。『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』で描かれた、人工ポケモンであるミュウツーの起こした行動は人間がポケモンを統治するシステムそのものへの反逆へと通じる面を持っていた。
特別なポケモン †
- 伝説のポケモン
- 特定のバックストーリーを持つポケモンは伝説のポケモンと呼ばれる。劇場版の題材としても取り上げられることが多い。総じて強力なポケモンであり、ゲームにおける他プレイヤーとの通信対戦ではしばしば禁止または使用制限がかけられる。代表的な伝説のポケモンとして、ミュウツー、ルギア、ホウオウ、カイオーガ、グラードン、レックウザ、パルキア、ディアルガなどが挙げられる。
- ゲームのプレイにおいてはそれぞれ1体ずつしか見られない場合が通常であるが、設定上も「世界に1匹しか存在しない」と明言されているものは少ない。さらにその設定ですらも作品ごとにまちまちである。
- 幻のポケモン
- 伝説のポケモンよりもさらに特殊な扱いである幻のポケモンも存在する。ストーリー上では極めて特殊な存在として描かれる。具体的には、ミュウ、セレビィ、ジラーチ、マナフィ等ががこれにあたる。
- ゲームにおいては、これらのポケモンは通常のプレイでは入手することも、姿を確認することもできない。それにまつわる物語が断片的に語られる程度である。実際に入手するためにはゲーム外部のキャンペーンなど特殊な入手方法を必要とするため、これらを入手しなくてもポケモン図鑑は完成扱いになる。
- バグポケモン
- ゲームの内部データとして「ポケモン」とされているが、ポケモンとして認められているわけではない名称は、俗にバグポケモンと呼ばれる。ゲーム上のバグや、プロアクションリプレイ(PAR)等によるデータ改造などで出すことができる。
- けつばん(MISSINGNO.) (赤・緑・青・ピカチュウ)
- ダメタマゴ(BADEGG)(ファイアレッド・リーフグリーン・ルビー・サファイア・エメラルド)
- ????? (金・銀・クリスタル、他)
- ? (ファイアレッド・リーフグリーン・エメラルド・ダイヤモンド・パール)
- これらは空きデータの埋め合わせに用意されているだけで、これ自体に意味があるわけでは無い。また、上記以外にも無関係のデータを文字列として参照してしまうことで異様な名前のポケモンが現れることもある。